2020年05月02日

火の鳥

ここ数日火の鳥を読み返している。角川書店のハードカバー版を一日一冊のペースで黎明編→未来編→ヤマト・異形編→鳳凰編と、ここまで読了。
ことさら言うまでもあるまいが、すごい漫画である。漫画というか物語というか、火の鳥の存在そのものが森羅万象というかミクロからマクロまでというか、因と業なのだなと噛み締めながら読んでいる。まったく俺ときたら破壊的文章だぜ!


手塚漫画って表現が過剰だし、時に抽象的だし、漫画の表現の極北と王道をこともなげに行ったり来たりする。あの人の漫画を当たり前のものとして、面白い面白いと読んで育ち、それで漫画家を目指してってどれだけ豊かな感性なんだよと思う。それは漫画に限らずだ。


つい先日「イースター・パレード」と続けざまに「忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻」を観ながら基礎練習しましてね。「イースター」のフレッドアステアの所作の素晴しさったらないわけです。ダンスは言うまでもないですが、やはり身体がしっかりしているので演技のいちいちの所作が映画という中において自然で、「あー、ハリウッドって最高やなぁ」と何度も無意識に呟いてました。ダンサーとしての基礎と教養が完全に映画に昇華されてるわけ。


で、忠臣蔵の方は片岡千恵蔵・市川右太衛門はじめその他時代劇の時代劇たるそうそうたる役者が出てるんですね。当時の時代劇のセットやロケーションの見事さはもちろんだが、やはり役者の演技がしっかりしてるんですね。当時のことですから歌舞伎出身の人も多かろうと思います。やはり古典というものがしっかりと身体に入っているというだけで、安定感と重厚感が嫌味ないバランスで画面から圧を感じるんです。カメラの向こうの何百万人もの観客の両目を引きつける強さを感じました。


で、なにが言いたいかというとですね。古典を古典として学ぶのではなく、あくまでも生活の中に古典と呼ばれるようなものが当たり前のようにあった、ということが現代からすればどれだけ尊いことなのかということです。現代を代表するメディアであるユーチューバーも数々見てますが、どうもそういうことを避けて避けて作ってる感じがしますね。もちろん個々にはそういう教養や知識があるはずなのに、コンテンツとして成立させようとするときにどうしても対象が子供や若い女性になってしまうんですね。そうなると含蓄は邪魔なんですね。それでも分かる人にだけ分かればいいやというスタンスでやってる人もいるんだけど、それはそれでサークルっぽくってまた違った嫌な感じがするわけで、ほんと自分って面倒くせーなーと思うんですが、しょうがない。


手塚治虫なんて今の漫画家でもやらないような過激な表現方法やってますよ。というか、漫画描きたくて描き始めた頃の衝動と欲望が「手塚治虫」として君臨してもなお全開でいてらっしゃるというのが、凄さ通り越して狂ってんですよ。例えばドラムとかジャズに関しても、欲望と衝動がたぎってたぎってしょうがない内はサービス業としての商品として納品できるような演奏にはならないわけですよ。そらそうですよ、エゴエゴエゴですから。そういうことを通過儀礼として経て、エゴ以上に聴いてくれる人の顔をイメージして演奏するようになってくるわけですね。ときに観客というよりもオーガナイザーだったり、スポンサーだったりはときによりって感じですが、とにかく自分以外の誰かや何かで差配してくわけです。でもやはり僕が理想としてる名人や天才や名を残すような人っていうのはサービス業者ではなく芸術家であり表現家ですから、あくまでもエゴというものを技術や経験、知識や教養といったその人の持てる限りの力でもって受け手を納得させるわけです。感動させるわけです。


なのでまぁ、自分にはまだ牙や爪は残ってるのかい?とそういう表現者たちの作品や姿勢に触れるたびに自問するわけです。でもそれで自分ががんじがらめになってしまっているということも事実なわけで・・・。


あ、あとね。諸星大二郎の漫画も読み返してます。あの人の漫画で一番影響を受けてると思ってるのが「無面目・太公望伝」という単行本なんですね。その二つは別々の話なんだけど、通底してる何かがあるんですよ。それは落語にも繋がってるような気もするんだけど、それはまた別の話って感じですね。王様のレストランも定期的に見ますねー。


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写真は本文に全然関係ないが、今までで一番美味しいと思った芋焼酎の「さつま島美人」。美味いというか口に合ってるんでしょうね。イモイモしてなくて、でも確かに芋焼酎にしかない風味があって良いんです。芋のソーダ割りって芋臭が際立つので進んでは飲まないんだけど、この島美人のソーダ割りは星三つです。
posted by さだおか at 09:10| 兵庫 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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