2020年02月03日

黒川博行著「破門」

R0019773.JPG


いわゆる「疫病神シリーズ」の五作目。



といっても「疫病神」「国境」と順番に読んだものの、そのとき図書館にあったので借りたはいいが、結果五作目だっただけのこと。まぁこのシリーズは続きものではないからと高をくくっていたら、二宮が小鳥のマリを飼っていたので驚いた。が、読み進めていっても特に問題なく一安心。



全作読んだわけではないが、このシリーズの最高作は「国境」だと思っているが、今日は「破門」である。


途中のカジノでのルールや講釈は必要だったのかと思うが、全体的に登場人物の会話が非常にスムーズでぐいぐい読み進められて良かった。それが黒川さんの作品の最大の特徴だろう。この人の小説の魅力は台詞に一切の違和感がない上に、そこに純然たる人格が見事に描写されているところにある。ま、簡単に言えば、こういう人ならこういう言い回しをするだろうということが間違いなく展開されているということだ。


本当にあっという間に読んでしまい、読了してすぐ図書館に読み飛ばした三作目と四作目を予約した次第である。



とはいえこの人の小説にはまったくのクズしか出てこない。よくもまぁこんなクズばっかりおるなぁと溜息も臭くなりがちではあるが、どのキャラクターも酒の飲み方が潔くて非常に好感が持てる。「仁義なき戦い」を観たときもそうだが、水のようにビールを飲む人ばっかりで、しかもその飲み方が美味しそうでしょうがなく、わざわざ瓶ビールを買ってきて定食屋や中華料理屋で出てくるような小ぶりなビールのコップでキュッとやりたくなるのだ。食欲や性欲といった人間の根源のような欲望を刺激するというのはやはりパワーがなければならないので、その点で黒川さんの小説というのはひときわ魅力的である。


この小説を読んでバランタインのハーフロックを飲みたくなるのは正常な反応だと僕は思うのである。
posted by さだおか at 10:29| 兵庫 ☁| Comment(0) | 読書記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: