2017年07月09日

葭葉、定岡対談 その3

対談中に出てくる歌とリズムの関係性を簡単に象徴してるかなという演奏動画です。



ではその3、はりきってまいりましょう!


葭葉  晴萌ちゃんとのオリジナルやってるカルテットも元々メンバー自体が半固定っていう形でやってたんです。晴萌ちゃんが東京で私が関西だったんで、まずこの二人の予定を合わせないとっていうのが最優先事項で。私が東京行ったときに晴萌ちゃんと現地のミュージシャンに頼んで、逆に晴萌ちゃんがこっち来たときはこっちのメンバーでっていうのでやってたんですけど。内容がオリジナルなんで、やっぱりその、毎回毎回新しい人とか違うメンバーでっていんじゃなく半固定のほうがいいだろうっていうのがあって。

定岡  オリジナルの場合は特にね。曲の咀嚼がいるから。

葭葉  そうですね。その延長でピアノトリオもそのスタイルになってるっていうのがありまして・・・。

定岡  いや、僕もね、色んなことやってるんですけど、一緒にやってる人ってほぼ決まってるんですよ。當村とかね。それはやっぱりいちいち説明が要らないっていうのがあって。新しい人や日の浅い人とやると、「それちゃうねんけど」っていうのが僕はすごいあるから・・・やっぱり言わずもがなの関係性というか。

葭葉  そうですよね。ライブとしてはやっぱりその方がクオリティーも上がるし面白いんですよね、恐らく。

定岡  まぁ面白いんですけど集客力が上がるかっていうとねー(笑)

葭葉  ままま、そうなんですけど(笑)

定岡  それが一番の問題なんだけどなぁ。

葭葉  新しい人とすればそっちの方がもしかしたら集客が期待できるかもしれないっていうのはあるかもだけど。

定岡  「あ、違う人とやってるやん!」っていうので来てくれる人もいてるし。

葭葉  曲がかぶってるっていうのもありますしね。

定岡  そうそう。僕の場合はオリジナルは全くなんですよ。書かないんですよ、書けないし。

葭葉  えー、意外ですね。

定岡
  それが出来ないんだったら構造を変えてしまおうっていう・・・。ジャズっていう・・・、例えば僕はアンサンブルの構造を変えたくて・・・、だから基本的にはアドリブをせずに曲をどれだけ曲としてやるかっていうとこだけでやっていってて。このアルバムに入ってる曲とかはだいたいそんな感じで。いわゆるアレンジを超えたアレンジ(※1)をやってて。

葭葉  あ、だからそうか曲の長さがこういう感じなんですね。

定岡  即興とかやるとやっぱり長くなりやすいんですよ、8分とか。それを出来るだけJ-POPの長さでやりたいと。だから4分とかにしてるんですよ。即興の方は3分とかにしてて。

葭葉  それだけで聴きやすいと思う。

定岡  でもまぁ二曲だけ長いのも入ってるんだけど、それはもうこっちも長いからこそ出来る演
奏があるから、それはそれでやってるんですけど、基本的には聴きやすいのっていうのがあって。一曲聴いてパって次の曲になるんやと思われるくらい短くして。あと個人的な好みでソロギターとソロピアノが二曲ずつあって、構成として色んな編成をやってて。四人でやったり、そこに野津が入ってたり、當村と畠山さんと野津だけでやってる曲もあったりとか、色々組み合わせて色んな面を出しつつ飽きさせないような感じでっていうので作っていって。だから僕はジャズがしたいっていうよりかは、もっとJ-POPとか、ああいう風な方がアルバムでって聴いたときは好きなんで。だから出来るだけそういう影響でやっていってます。

葭葉  やっぱりキーワードは「飽きさせないこと」ですよね。なんか私自身もこのピアノトリオ作ってますけど、どれもほとんど同じような曲調でもなくて、なんか色々と色んな方向から曲を作ってみましたよーっていう感じで作ってて。だから一曲ジャズのスタンダード入れてるっていうのも全然ありっちゃありなんですよ。あとライブもそうなんですけど、同じような曲調が並んでたりとか、ジャズライブもいいんですけどアドリブをしてそのアドリブが命みたいな感じじゃないですか、ジャズライブって?でもそのパっと聴いたときにやっぱ退屈やなっていうのがあって、私自身の中で。

定岡  うんうん。

葭葉  じゃ退屈じゃないライブって何なのかみたいなこと、人のライブ行ったら思うし、自分のライブでも「あー今日のはちょっと退屈やったかも!」って反省しつつ、なんか皆が予想もしなかった方向に行くようになんかしないとっていうのはすごい共感できるところです。

定岡  うん。

葭葉  エレベ(※1)の磯部直樹君っていう次の対バンのときの。あの子はほんとにその期待を良い意味で裏切ってくれる奏者なんですよ。曲がもし普通の曲だったとしても、たぶん直樹君が入ることで良い意味で変態っていうか、この人普段何考えてるんやろうと思わせるようなプレイをしてくれるっていうので。あと、ドラムのVON BARONさんが非常にそれに反応してサポートもするし、全然前にもガーって出てくれるしっていうので、すごく面白い空間が作れるっていうのがありまして今回はレコーディングメンバーではないけれども・・・。まぁ集めるのが大変っていうのがあるんですけど(笑)だから面白くなるんじゃないかなという予想はありますね。あとセモ大は私は期待度というか、ものすごい面白そうだなという、まだライブ聴いてないけどそれがすごい伝わってくるような、あのーウェブ上の出方とか情報の出方というか、「あ、これ絶対変体系や」っていう(笑)

定岡  っていうかね、他の三人はなんも分からずやってると思うんですよ。CDに関しても、録音の時点で僕はこうしたいっていう絵はあったんで、だからピアノのこういうのが欲しいとかサックスのこういうのが欲しいっていうのがあったんですけど、それを出来るだけ抽象的にしか言ってないから。長い音下さいとか。

葭葉  はー。

定岡  それで何分か長い音だけ弾いてもらうとか、色々やってて。多分聴いてもらうとびっくりすると思いますよ。マイルスのビッチェズブリューとかあるじゃないですか?あれをやりたくて。テオマセロっていうプロデューサーがマイルスとかの録音した音源を全部編集して再作曲してるんですよ。それをやりたくて。だからサンプリングに近い状態でみんなの音を使いつつやっていって。あと最近はあんまりだけど、演劇の影響がすごくあって。(※2)

葭葉  えー!?

定岡  演劇とかもだけど、音だけの情報で・・・さっきも葭葉さんも言いましたけど、アドリブでどうのこうのって僕はどうでもいいかなって思ってて。それよりかは一曲目こうやったときに二曲目はこの曲来るとか、そういう全体の流れとかー、映画もやし何でもそうなんですけど、ワンシーンなり一秒でも良い瞬間があったらそのライブや作品は良いものやって僕は思ってるから。だからその一秒をどうやって作るのかっていうのをずっとライブでセモ大とかは構成とかMCは考えながらやっていてたんで。だからアドリブは最初からやらないっていのは、それよりは良い一秒、見てる人がワーって思うような一秒なり一瞬があれば良いっていう。でもそれは見てる人によって感じ方が違うから、色んなフックを設けて、
ここに引っかかる人もいれば違うとこに引っかかる人もいてるからっていうのでいろんなことやりつつ。

葭葉  ライブは普通にアドリブを入れたりするんですか?

定岡  ライブはねー、えーっとそれは非常に説明が難しくて(笑)アレンジによるんですけど、アルバムだと二曲目の「LIGHT BLUE」って曲なんですけど、元は八小節くらいの曲なんですよ。そのアレンジを説明すると、一拍の四分音符を三連で割って、その三連の一つを一拍と捉えて、四分の三が四小節で元の曲の一小節っていうことにして、だから全部で八かける四で、三十二小節でコーラスっていうのにしてるんです。しかもゆっくりで。

葭葉  はぁ〜。

定岡  これは元ネタっていうんじゃないけど、ドラムの富樫さんのオリジナルかなぁ。プーさんとやってるアルバムでそういうベースパターンの曲があって、それを拝借したっていう。で、これはテーマやった後はピアノソロでやってるんですけど、ベースだけテンポを守ってもらってドラムとピアノはフリーというか、くっつきつつ離れつつみたいな感じでテンポも関係ない瞬間もあるし、ピアノとドラムだけでガァーっていってるけどベースは関係なくパターンを弾いてるっていう。それをまぁアドリブというのかどうなのかっていう。

葭葉  ハハハ。

定岡
  この「GREENCHIMNEYS」っていうのは、まず八分の七拍子、ドン・パン・ドッドン・パ・ドン・パン・ドッドン・パっていう八分の七拍子でドラムが叩くっていうのを決めて、それで・・・僕も何してるか分かってないんですけど、當村が八小節くらいでメロディーのタンタンタンタッタタータンっていうのを一回吹くっていうのをやってて。

葭葉  はー(笑)

定岡  サビまでは曲のサイズ通りにやって、サビはテンポを若干落としてピアノ一人でってして、きっかけあればまた最初よりちょっと早いテンポの八分の七拍子でタンタンタンタッタタータンを好きなだけ吹くっていう。サイズだけ八小節って決めてて、アドリブじゃなくて曲みたいな・・・まぁ聴いてもらったら分かると思いますよ。

葭葉  めっちゃ面白そう!

定岡  で、CDの場合は編集が出来るから、サビのピアノだけの所を何個も何個も重ねて複雑というか全然違う雰囲気にしてます。アドリブっていうのがフォームを使って何回も繰り返すっていうことを指すのであれば、それはやらないですし、それは拒んでるかな。そこに僕は魅力は感じないかなぁ。そうじゃないところでやりたいかなっていう。でも最近はそういう風に曲をやったりするんですけどね、バラードとか。そういう風にしても良い演奏が出来る面々だと思うけど、そんなことはどうでもよくて。んー。なんかそういう感じですね。

葭葉
  へー、話聞いてるだけでも面白そう。最初の発想がドラマー視点の発想かもしれないですね。アプローチの仕方が。

定岡  そう。リズムから作りますね。ハーモニーどうするとかコードとかよく分かんないから、コード適当でいいっスって。

葭葉  はは。でもそっちの方が聴いてる方はリズムアプローチが複雑で絡み合ってる方が絶対面白いですよね。

定岡  原始的な話をするなら、やっぱりリズムから作っていってるんじゃないかって思ってて。ロックバンドでも歌とドラムからとか、まぁギターリフとかは置いといて。ドラムのパターンにたいして歌がどう絡んでいってて、さらにそれにどうハーモナイズするかってだけの話で。ジャズでたまに人のアレンジでやるってときに、「何のためにこれやってんすか?」「この付け足しの四小節何なんですか?バンプなの?(※3)」って。その取って付けた感じ、それこそ誰々がやってたとかっていうだけでやる感じが僕にはよく分かんないから、それやったらモンクの曲は個性もあるし、なんせ強靭だからどれだけいじくり倒しても跡形は残るだろうっていうので好き放題やってる感じなんですけど。

葭葉
  モンクの曲をやるときに不思議とお客さんの反応も良かったりとかするときがありますね。モンクの曲で面白い曲で、「PLAYED TWISE」ってあるじゃないですか。あれをベースとドラムがいない、例えばピアノとサックスとかで浮遊感があるような編成でやるとすごい面白くて。ちょっとトリッキーに聴こえるメロディーだからだと思うんですけど。あと例えばあと有名なんだと「EVIDENCE」とか、ああいうのはなぜかすごい入ってくるんですよ。ジャズって他にも色んな素晴らしい曲があるのに、やっぱモンクってそうやって印象に残らせる力ってすごいあると思います。

定岡  明日セモ大とは違うんだけど、モンクの曲だけやるライブを企画してて、それでモンクの演奏を最近よく聞いてるんですよ。モンクってテーマをしつこくやるんですよ。一回でアドリブっていうんじゃなくて、最低二回やってそれからもソロしてる後ろでテーマ弾いてたりとか、何なんやろこれは!?って。で、バッキングでも急に弾かなくなって消えるとか。で、それを自分なりに解釈すると、テーマっていう束縛力のあるものと、アドリブっていう解放感や自由度の高いものとのグラデーションみたいなとこでモンクはやりたいのかなぁって思って。はいテーマやりましたからアドリブ開始っていうんじゃなくて、グラデーションみたいなところでどっち行ってもいいし、ましてや消えてもいいしっていうのをやりたかったんじゃないかなっていう解釈ですね。モンクの場合アドリブがカッコイイとかっていうんじゃないですもんね。雰囲気として、普通じゃない空気が出てるっていうだけでカッコ良かったりするから。それがたぶんモンクのあのバッキングの不条理さがそこやと思うんですよ。

葭葉  決して技術どうこうっていう話じゃないですもんね。作品自体がカラーが出てるというか。

定岡  楽器が上手い下手は別としてピアノの音はすごく良いなって思ってて。個人的な好みですけどエリントン〜モンクとかって系統があるじゃないですか、僕はあれがやっぱり好きやなぁって。ハーモニー云々もあるけど、タッチが打楽器としてやってるから音が太いし強いししっかりしてる。

葭葉  確かに確かに。

定岡  もっと若い時はもっと色々思たんですけどね。なんでこんなヘナヘナなピアノばっかりなんやろうとかって。あれは恐らくビルエバンスを誤解釈した人たちによるその堆積ではなかろうかと。エバンスはタッチが非常に強いですからね、手もデカいし体もデカいし。まぁ見たことないけど(笑)(※4)

葭葉  ははは。

定岡  そういう多くの誤解を孕んでるからピアノって楽器はすごく難しいんだろうと僕は思いますね。






※1  そういえばエレベーターガールって全然見なくなりましたね。中学の修学旅行で東京タワー行ったときに居たような気もするけど。あ、エレベってのはエレキベースの略であります。

※2  影響だなんだって言ってるが、実はそんなに見に行ってるわけじゃない。好きな作家に宮沢章夫や別役実といった劇作家や演出家が多く、その文章や戯曲から、考え方や方法論を学んでいる。

※3  以前「車輪の唄」が卒業パーティーで叩きたいという美容系の女学生を三カ月ほどレッスンした。この一曲のためにレッスン来てくれるんだし、わざわざブラシ(大体三千円前後)を買わずに僕のを貸しますよと言ったのだが、結局ライブ後に感謝の言葉と一緒に返却されたブラシの柄はリムショットでボッコボコになっていた。まだ新品だったのに・・・。文中はBUMP OB CHIKENではなく、VAMPといって、曲導入部や間奏時に演奏されるリズムパターンのことである(コトバンクより)。

※4  気になってネットで調べたが全く身長に関する情報が出てこなかった。そりゃそうだ。誰もミュージシャンの身長なんて特に気にしないから。でも少なくともミュージシャンを目指す段階で色々と考察する中で体格って気になりませんでした?僕は気にしましたよ。腕の長さとか、体重とか骨格とか。ドラマーだからなのかな。だから、今でも芸能人とかテレビの中の人の身長を知ったりしたときは、意外と大きい、意外と小さいって興奮してしまう。



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posted by さだおか at 09:47| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | セロニアスモンク大学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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