2015年11月20日

REVURE

IMG_1694.JPG
Masabumi Kikuchi / Ben Street / Thomas Morgan / Kresten Osgood


ちょっとお久なREVUREのお時間です。

このアルバムは今年発売されたものでして、詳細はHMVのレビューを拝借しますね↓。
フリージャズ、ロックなどジャンルの垣根を越えて様々なアーティストとセッションを行なってきたデンマーク出身のドラマー、クレステン・オズグッドの2008年ニューヨーク録音作品がILK MUSICから音盤化。我らがプーさんこと菊地雅章をピアノに迎えて、その菊地雅章トリオをはじめ現在八面六臂の活躍を見せるトーマス・モーガンと、言わずもがなの売れっ子ベン・ストリートというふたりの才気溢れるベーシストを起用したカルテット編成。互いの個性が拮抗し合う完全インプロヴィゼーションによる8編。

菊地雅章 (p)
Ben Street (b)
Thomas Morgan (b)
Kresten Osgood (ds)



ということで、生前にトーマスとモチアンとのトリオのCDのSUNRISEはまだ各曲にタイトルが付いていて咀嚼のしようがあると言いますか、こちらからの解釈のしようもあったんですが、このアルバムに関してはタイトルすらなく、録音時の#で使ってますって感じで、強者といった印象でそう簡単に買う人はいねぇんだろうなという印象であります。そしてパッケージングの仕様も非常に簡素であり、北欧系の合理主義的な思想が感じられる仕上がりになっています。

一応リーダーはドラマーの人になるんでしょうが、アンサンブルに関してはこれといった主導権を行使することなく、あくまでも四人の即興演奏に終始するという感じですな。

正直最初はクソやと思いました。買ってすぐにこれをプレーヤーに入れてちゃんと正座して聴いたのだけど、何じゃこの内容の散漫な即興は!?と一周だけ聴いてCD棚の底の方に沈ませていた。それから何カ月も過ぎたときに、プーさんが亡くなったということで過去の作品も再販されたのを手に入れ聴いてみたけど、これは元から好みではない時代のプーさんのバンドの演奏であり、あくまでも資料と知識の為だけに入れてみたんだけどストレスがたまるわけですよ、そういうことで音楽を知るということは。で、最近のプーさんであの買ったやつをもう一回ちゃんと何度も聴いてみようと思い、静かな夜や電車の中やらとにかく色んな状況で聴いてみたところ、こらすげーぞとなったわけですよ。

かなり集中して聴いてわかったんだけど、この録音はちゃんと一斉に演奏しているのを録ったということに気づいた。

普通、ここで「ん!?」と思われても仕方がないことを書いてんだけど、はっきり言ってこれを初見で聴いてアンサンブルの構造や関係性を理解できる人は演奏している四人以外にはいないんではないだろうか。それほどに悪く言えば散漫な構図として演奏している。が、それこそがプーさんが考えている即興演奏に於けるアンサンブルの在り方ではないかと、僕は思うのだ。いや、プーさんだけでなく即興音楽を志す幾人かの人の希望となる音がここにはあるのではないのかとすら思う次第である。

そういった面での編集は恐らく施されずに発表されていると僕は思うし、ここまでのバラバラな演奏というものもそう簡単には出来ないことなのだ。真っ当とは言えなくとも、少しでも音楽に関して勉強している人であれば感じる違和感と嫌悪感を挑発するでもなく、そんな常識とかもうどうでもいいからもっと音楽の懐の奥底に向かおうやという気概を感じずにはいられないわけ。僕なんかはまだまだ青くて、どうもそういう仮想敵を設定することでしかアンサンブルの考察は深められなかったが、それも年々どうでもよくなってきて、今となっては非常に廃退的な思想の元にアンサンブルを見ていたりもするが、この四人はもっと乾いていて、そしてもっと真剣なのだ。

こんなものジャズじゃない。そんなこと言う輩も当然居るだろうが、僕に言わせれば2010年代以降のジャズのメインストリームと呼べそうなあのしょうもないブラックミュージックこそジャズじゃないわけだよ。少なくともこのアルバムや即興演奏や音楽を心から信仰している人たちの方が50年代のジャズのそのキワキワ感はビンビンにありますよ。そしてこのアルバムのアンサンブルときたら、ジャズ界がずっと呪縛されているマイルスセカンドクインテットのアンサンブルとは全く別のベクトルの思想の元に構成されているわけだ。現代のジャズの多くとまではいかないけれども、目につく辺りのジャズはあのクインテットのアンサンブルというものの焼き増し、しかも劣化版でしかなく、それはアンサンブルというものへの思慮と考察に設ける努力と勉強のいたらなさを自ら証明しているようなものであり、このアルバムを一聴した時に「クソ!?」と思った自分にすら戒めとしてここに記するわけであります。

アンサンブルを考える。それだけのことも出来ずに道を歩いている人間の多いことったらない。
posted by さだおか at 09:37| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | REVURE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック